「こんにちは。A◯azonでーす」
配達ご苦労ピヨ。
おや、ひよこさん、買い物ですか? ずいぶん大きい段ボールですね。
さっそく開けるピヨ。
こ、これは……!
車田正美先生の「聖闘士星矢」全巻セットと、宮下あきら先生の「魁!!男塾」全巻セットピヨ。
もろ80年代ジャンプ黄金期の作品じゃないですか!
だいぶ奮発したピヨ。
聖闘士星矢は28巻、男塾は34巻なので、全部で62冊ですね。両方とも80年代後半に一世を風靡してますね。
「魁!!男塾」は今ならアニメをリメイクできるんじゃないかと思っているピヨ。アニメ版の男塾が大威震八連制覇の途中でひどい打ち切りになった時のショックは今も忘れられないピヨ。チェンソーマンがアニメ化できるご時世なら男塾なんて余裕ピヨ。
それ、もう30年以上前の話ですよ。ひよこさん、いったい何歳ですか!?
ところでひよこさん、どうしたんですか。急にマンガを大人買いして。大人っていうかまだ雛鳥なのに。
実は、トレーディングがめちゃくちゃうまくいったピヨ。
お、それはよかったですね。
いいかよっしー、相場で大きく利益が出たからといって浮かれてはいけないピヨ。
いやいや、ひよこさん、どの口がそれを言うんですか! すでにめっちゃ浮かれてるじゃないですか。
……実は、これには訳があるピヨ……
なんですか、訳って。
実は、新しく作った自動売買システムが、思いのほかうまくいったピヨ。
前回のチーターさんが開発したロボアドの一件があるので、いやな予感がします……。
どこぞのチーターみたいにポンコツロボットなんて作らないピヨ。ちゃんとPythonでプログラムを組んだピヨ。
だから、ひよこなのにどこでPythonとか学んできたんだよ!
そのシステムの勝率が高かったので、自分へのご褒美ピヨ。軽いリベンジ消費ピヨ。
(自分に言い訳しながらマンガ買うタイプだな……)
「システムトレード」と「裁量取引」
さて、せっかく自動売買システムを組んだから、すこし講釈を垂れるピヨ。よっしーは、自動売買システムを使ったシステムトレードの経験はあるかピヨ?
いや、ないです。基本、自分で売買していました。
よっしーのように、自分でチャートを見て判断しながら行う取引のことを「裁量取引」というピヨ。この裁量取引には、いくつか問題点があるピヨ。
どんな問題ですか?
まず、取引をする本人にチャートを読んだり取引のタイミングを見極めるためのスキルが必要ピヨ。そして、長い時間チャートに張り付くための時間的な余裕も必要ピヨ。
そうですね。それは分かります。
そして、これが一番の問題だと考えているピヨが、相場においては「自分の心理が一番の敵」だということピヨ。
どういうことですか?
よっしー、持っているポジションが含み益(利益の出る状態)になった時、どんな気持ちになるピヨ?
本当はしっかり利益が出るまで育てないといけないのですが、正直早く利確したくなります。
逆に、ポジションが含み損(損をしている状態)になった時は、どんな気持ちになるピヨ?
本当は早く損切りしなくちゃいけないのに、「また上がるに違いない」という気持ちで静観してしまいます。
そうピヨ。これが人間の心理ピヨ。頭で原理原則を理解したつもりでも、いざ目の前のポジションが動き始めると心理的に揺さぶられてしまい正常な判断ができなくなるピヨ。
ヒヨコの仲間たちも、多くが自分の心理に勝てず、食肉として出荷されてしまったピヨ……
仲間のことはさておき、そこで、売買をシステムに任せるっていうわけですね。
そうピヨ。人の判断を挟まないことで、あらかじめ決めたルールのみに従ったトレードを行うのがシステムトレード、通称シストレピヨ。
ぼくはもう短期投資をやっていないですが、最近は一般の人が行えるシステムトレードもずいぶん選択肢が増えましたよね。
そうピヨ。個人ですらそんな状況ピヨ。いまや機関投資家はほとんどがこうしたシステムを使っているといっても過言ではないピヨ。
よっしー、機械帝国相手に素手で立ち向かって、勝てるかピヨ?
70年代のSFっぽい表現でグッときますが、まず勝てる気はしません。
もちろんシステムトレードにも大変な点はあるピヨ。採用した戦略が今うまくいったとしても、それが未来永劫うまくいくわけではないピヨ。定期的に見直す必要があるピヨ。自動で売買してくれるからといって完全手放しにはしないのがシストレと向き合う時には大事ピヨ。
そうなんですね。
いずれにせよチャートに対する深い理解が必要なのは裁量取引もシストレも変わらないピヨ。無理にはお勧めしないし、本当の手放しをしたいならよっしーもやっているETFなどの中長期投資の方が圧倒的におすすめピヨ。
ただ、こうしたシステムに興味があるなら一度はやってみて欲しいピヨ。自分で組まなくても、既存のシステムを提供している取引所もたくさんあるピヨ。
で、ヒヨコさんは今回どんな売買ルールにしてるんですか?
ほんとは企業秘密だピヨが、よっしーには世話になってるから教えてやるピヨ。
それはどうも。
実は、寝ているチーターに、こっそり特殊なバイタルモニターを取り付けたピヨ。
よくつけたな! スパイか何かか!
体が小さいから、潜入ミッションは楽勝ピヨ。
で、どうするんですか?
チャートが大きく下がると、チーターが追証をくらってベコベコに凹むピヨ。このタイミングは、ほぼ間違いなく買いのタイミングと思っていいピヨ。そこで、ストレスホルモンと言われるコルチゾールの分泌量が一定量になったら自動で買いを入れるピヨ。
マジか! 手が込んでるな。
さらに、チャートが大きく上がったらチーターが浮かれポンチになって買いを入れ始めるピヨ。この時は間違いなく売りのタイミングと思っていいピヨ。そこで、快楽ホルモンであるドーパミンが一定以上分泌されたのを検知したら自動で売りを入れる仕組みピヨ。
つまりは、チーターさんの完全逆張りですね……
名付けて「チーター指数」ピヨ。我ながら、いい指数を開発したピヨ。チーターには今後もこのままでいて欲しいビヨ。
確かにチーターさん、いっさい学習しませんからね。しばらくは安泰でしょう。
ただ、一回だけ失敗したことがあったピヨ。ある月曜日に、大きくストレスホルモンが出たので買いを入れたけど、失敗したピヨ。
何かあったんですか?
チーターの後をつけて原因を調べたら、その前の週に発売された週刊少年ジャンプが、合併号であることが分かったピヨ。そして、その日は月曜日だったピヨ。
それが、どうかしましたか?
つまりその日は、少年ジャンプが発売されてなかったんだピヨ。ワンピースとヒロアカの続きが読めずにチーターが愕然としたことで、買いのシグナルが出てしまったピヨ。その気持ちは分かるピヨ……
(みんな、マンガ好きだな……)
※この話は投資知識を元にしたフィクションです。投資、システムトレード、および肉食動物へのバイタルセンサー取り付けは自己責任でお願いします。
※上記はたとえ話でフィクションです。バイタルモニター等でリアルタイムのホルモン量を測定することは大変困難です。通常のホルモン分泌量検査は血液検査により結果判明までに3~4日かかるため、上記のような指数をリアルタイムで運用することはできません。「それはいける!誰かに取りつけよう」と思った皆さん、残念でした。
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